
2025年7月。パリを訪れた大きな目的のひとつは、愛してやまない画家 ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)にゆかりのある場所を巡ること。今回の短い滞在の中で、私はモンマルトル美術館とオルセー美術館という、ふたつの場所に足を運びました。
どちらも2時間ほどの滞在でしたが、ずっと胸に残っていた絵に再会できたり、アトリエ跡に足を踏み入れたりと、感情が揺さぶられるような時間になりました。
1. モンマルトル美術館|ルノワールのアトリエと庭園へ

7月5日午後、まず訪れたのはモンマルトル美術館(Musée de Montmartre)。ルノワールが実際に暮らし、アトリエとして使っていた場所がそのまま残っている貴重な美術館です。
アトリエの部屋に立ち、窓から広がる庭園を眺めたとき、ああ、ここで彼はあの絵を描いたのかもしれない——そんな想像をせずにはいられませんでした。
展示では、モンマルトルという土地がかつて芸術家たちの集う村だったことや、当時のカフェ文化なども紹介されていて、ルノワールだけでなく時代の空気感にも触れられます。




この美術館にはかつてシュザンヌ・ヴァラドンも滞在していたそうで、彼女の作品展示も印象的でした。ポスターのようなポップな絵もあり、画家としての多面性を垣間見た気がします。

チケットはGetYourGuideで事前購入しました。美術館ではアプリのQRコードを読み込んでもらうだけでスムーズに入場ができました。
2. Le Consulat|芸術家たちの足跡を感じて

モンマルトル美術館のすぐ近く、かわいらしい外観で有名なカフェ「Le Consulat(ル・コンシュラ)」にも立ち寄りました。
ピカソやゴッホが通ったとされるカフェで、ルノワールが訪れた記録はありませんが、アトリエからの距離を思えば、きっと彼もこの一角を歩いていたのではないかと思えてきます。
観光客でにぎわっていましたが、時間がゆっくり流れるような不思議な空気のある場所でした。

3. オルセー美術館|10年以上前から変わらない、私のNo.1

翌日の7月6日は第一日曜日の無料開放日。朝からオンラインで予約していたオルセー美術館(Musée d'Orsay)へ向かいました。
目的はひとつ。ルノワールの『都会のダンス(Danse à la ville)』と『田舎のダンス(Dance in the Country)』を見ること。
初めてこのふたつの絵を見たのは、2013年。以来、何度もオルセーに足を運ぶたびに、この絵の前に立ち、静かに眺めてきました。
踊る女性のほほえみ、揺れるドレス、幸福感に満ちた色彩。ルノワールの魅力がギュッと詰まった作品です。
館内は相変わらず多くの来館者でにぎわっていましたが、ルノワールの前ではなぜか、時間が止まったように感じられました。

4. おわりに
今回の旅は短いものでしたが、ルノワールのアトリエと、あの2枚の絵に会えたことで、思い出深い時間となりました。
モンマルトルの坂道や、オルセーの大時計の向こうに広がるパリの景色も、きっと彼が愛した風景の延長線にあるのだと思います。
アートに導かれて歩くパリ。絵画と街並みがつながるような体験は、旅に深みを与えてくれるように感じました。
ルノワールが好きな方も、まだ絵を見たことがない方も、ぜひ一度訪れてみてください。
*おまけ*

