オランダ暮らしログ|旅と日々のまにまに帖

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【湖水地方旅行記】ピーターラビットの家と美しい村々をめぐる2泊3日

湖水地方——ピーターラビットで有名な、のどかな自然が広がる場所。大学生のころ、英文学の授業で見た写真の風景がずっと心に残っていて、ついに訪れることができました。この記事では、2025年6月の2泊3日の旅を振り返りながら、その魅力をご紹介します。

 

※この記事は、2025年6月に訪れた湖水地旅行の概要をまとめたものです。各エリアの見どころや観光情報は、別記事で詳しく紹介しています(順次公開予定)。

旅行の概要

拠点に選んだウィンダミアまではマンチェスターから電車で。

訪れたのは2025年6月7日〜9日。アムステルダムからマンチェスターへ飛び、そこから電車でウィンダミアへ。土地勘がなかったので、空港まで電車1本で戻れるウィンダミアを拠点に選びました。主な目的は、絵本で見た風景をこの目で見ること。静かに憧れていた夢が、ついに形になった旅でした。

Day1:到着と湖畔のアフタヌーンティー

『The Fizzy Tarte』のアフタヌーンティー

午後3時頃、ウィンダミア駅に到着。まず向かったのは湖のあるボウネス地区。アフタヌーンティーを楽しもうと『The Fizzy Tarte』へ。予約が必要だったのですが、ウェブサイトの予約は二人以上からだったため、直接現地へ。事前予約が好ましくはあるとのことですが、一人では予約できなかったことを伝えるとアフタヌーンティーを提供してくれることになりました。

店内は女子会グループで賑やか。料理自体は正直に言うと普通でしたが、おしゃれな雰囲気の中でお酒と一緒に楽しむスタイルはちょっと特別。バーとしての利用も人気のようで、ゆっくり過ごしたい人には少し騒がしいかもしれません。

ボウネスから見るウィンダミア湖

その後のボウネス〜ウィンダミア散策では、肌寒い曇り空のなかでもアイスクリームを食べている人がたくさんいてびっくり。石造りの家々や落ち着いた色の建物が並び、「これぞイギリス」という雰囲気が漂います。カフェやレストランの数は少なめですが、開いている店はどこも賑わっていて、街に活気を感じました。

Day2:絵本の世界と現実が重なる日

ヒルトップでは絵本の舞台となった場所が分かりやすく示されています。

この日は観光メイン。曇りで少し肌寒く、一瞬だけ雨も降りました。まずはボウネスからフェリーで湖を渡り、ニアソーリーにある「ビアトリクス・ポターの家(Hill Top)」へ。正式にはポター自身の家ですが、彼女の代表作『ピーターラビット』の舞台にもなったことから、「ピーターラビットの家」としても親しまれています。

外から足を踏み入れてすぐの部屋が印象的で、絵本の場面と実際の空間が重なり、記憶が呼び起こされるような感覚に。「この場所、見たことある!」と何度も思いました。ネズミがいた絨毯、猫たちが並んでいた塀...どれもまさに絵本の風景そのもの。

フェリーで出会った犬2匹を連れたイギリスの老夫婦とは、ヒルトップで再会。ナショナルトラストのパスポートやスタンプを見せてくれて、優しさとユーモアにあふれた会話がとても印象的でした。旅先でのこうした偶然の出会いは、記憶に長く残りますね。

『Tower Bank Arms』のサンデーロースト

昼食は「Tower Bank Arms」。開店前に店前のベンチで待っていると、少し早くドアを開けてくれました。ローカルビール「Loweswater Gold」を飲みながら、日本語で話しかけてくれたスタッフさんとの会話も嬉しいひととき。注文したサンデーローストを待つ間、日本語版のピーターラビットの絵本をいくつか持ってきてくれたことにも感激しました。

アンブルサイドは石造りの建物が多く、川の水も澄んでいました。

午後はホークスヘッドやアンブルサイドへ徒歩とバスで移動。道中はとにかく景色が美しく、歩くのが全く苦にならないほど。石垣や牧草地、山道から見える湖など、目に映るものすべてが絵のようで、時間がゆっくり流れているように感じました。

Day3:名残を惜しみながら

オレストヘッドから臨むウィンダミア湖。

最終日は午前中にオレストヘッド(Orrest Head)に登りました。緑深い山道を抜けてたどり着いたてっぺんからは、湖と町並みを見渡す絶景。静かで風の音しか聞こえない中、思わず深呼吸。登ってよかった、と心から思いました。

帰りの電車までの時間はカフェでぼんやりと。頭の中を空っぽにして、旅の余韻をただ感じる時間。贅沢で静かな締めくくりでした。

お土産と旅の小話

家の中を駆け回るネズミたち。絵だけではなくぬいぐるみも置いてあります。

ヒルトップでは、悩んだ末にピーターラビットのキーホルダーを購入。実用的でかさばらないのが決め手でしたが、やっぱりティーカップとソーサーも買えばよかったと、今はちょっと後悔も。

ヒルトップの入り口では「家の中に9匹のネズミがいるよ」とスタッフさんに教えてもらい、探してみましたが、見つけられたのは5匹だけ。二周しても残りは見つからず、「また来てね」と言われたような気分になりました。

天気と持ち物の工夫

ハイキングの道は整備されてはいますが、防水&泥がついてもOKなシューズがおすすめ。

事前の天気予報は雨でしたが、実際は一度サッと降っただけ。とはいえ、滝や山道では足元が濡れることも多く、防水シューズは大活躍。雨が滴る木々や葉っぱは幻想的で、晴天とはまた違う魅力を感じました。風が弱く、オランダより傘を差す人も多い印象でした。

まとめ:静けさと絵本の世界にひたる旅

ヒルトップの目の前にあるピーターラビットの標識

湖水地方は、ただ美しいだけでなく、記憶や感情をゆっくりとかき混ぜてくれる場所でした。ピーターラビットに登場する風景を目の前にしたときの高揚感、現地の人の優しさ、そして静けさ。

「次は晴れた日にもう一度来たいな」と思いながらも、曇り空としっとりした緑の湖水地方も、私にとっては忘れられない旅になりました。

 

次回は、それぞれの村の散策記録や、ビアトリクス・ポターの足跡をたどる旅を詳しくご紹介する予定です。お楽しみに。