オランダ暮らしログ|旅と日々のまにまに帖

オランダ在住者による、暮らしと旅行の情報ブログ。現地生活のこと、観光スポット、旅の記録を綴ります。

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世界遺産であるアムステルダムの運河と歴史散歩|「運河の家美術館」を訪ねて

 

先日、ミュージアムカード(Museumkaart)を使って「運河の家美術館(GrachtenMuseum)」を訪問しました。そこではオランダ移住4年目にしてオランダの首都・アムステルダムに広がる運河が「世界遺産」に登録されていることを初めて知りました。美術館で学んだことを忘れないうちに、このブログに残しつつ、ゆるりとご紹介します。

1. 運河の家美術館で知る、街の歴史

「運河の家美術館」は、時間をさかのぼるような場所でした。17世紀の家を再現したドールハウスや、プロジェクションマッピングを駆使したドラマチックな映像を通じて運河と街の歴史を学んでいきます。

他の美術館との違いは、自分で自由に見学をするスタイルではなく、集団で各部屋をまわるということです。一つの部屋に一つのテーマがあり、そのテーマが終わると次の部屋への扉が開くシステムです。各部屋には10分弱の滞在で、全てまわるのに1時間ほどのツアーでした。日本語のオーディオガイドがあるので、英語が苦手な方も楽しめる内容です。

歴史にいまいち興味がない方やお子さんでも、アトラクション感覚で学べますのでぜひ訪れてみてください。

grachten.museum

2. 海との戦いから生まれた街

美術館で学んだことは、17世紀の貿易がアムステルダムを大きく変えたということです。東インド会社が設立され、貿易が栄え、人口も増え続ける中で、人も物資も流れやすいように、アムステルダムには細かく繋がる運河系が建設されました。

これは単に美しいだけではなく、都市の水環境を保ち、防水基盤としても重要な役割を果たしていました。

アムステルダムの運河は、自然に水走を誘うのではなく、人間が手をくわえて組み立てたものです。その証に、先ほどお話しした美術館では運河の設計や成り立ちを分かりやすく表現していました。

綺麗に整備された運河沿いの家に住むことは当時の人々の憧れだったそうで、基本的には貴族やビジネスで成功した商人が住んでいたようです。とはいえ、当時、運河の水質はとても汚かったようです。というのは、各家庭で出る汚水は運河に直接投げ捨てられ、そのために水の流れが滞ると悪臭が漂っていました。現在は、運河の色はお世辞にも綺麗とは言えないものの、水質は改善されているとのことでした。

3. 世界遺産に登録された理由

2010年、アムステルダムの運河系は、ユネスコの世界遺産に登録されました。

その理由は、単に美しい景色だけではなく、人間の手で水とも組み合わせ、都市を形づくるために、高度な設計技術が使われていたこと。

また、この運河が17世紀のオランダ貿易の発展に大きく貢献し、経済を支える一部になったことも重要な視点だったそうです。

4. 運河を歩く

アムステルダムの運河沿いを散歩していると、とても気持ちの良い雰囲気に心が癒されます。運河沿いに植えられた街路樹は青々とし、天気が良い日には水面に光るカフェや古いビルも活気があります。どれも、運河のある街だから生まれた風景です。

運河と一括りに行っても地区によって見える景色は変わりますし、夜のイルミネーションは一層美しい風景でずっと眺めていられます。「時間がゆっくりと過ぎていくのを感じながら落ち着いた気持ちで運河沿いを歩く」、とてもおすすめです。

5. おわりに

住んでいると何も考えずにただ通り過ぎてしまうこともあるアムステルダムの運河ですが、歴史を紐解くと人間の知恵と自然がおだやかに調和してできた美しい景色なのだと気付かされました。

実は運河クルーズもまだ試していないので、水上から見るアムステルダムの街並みはどのように見えるのか、それも今度試してみたいと思います。